1.概要
親鸞聖人は「難度の海を度する大船」(大悲の願船)に乗った。そして、四苦の坂巻く人生から次の十種の利益(りやく)(幸福)を得られたと。弥陀から賜った幸福を讃嘆された。
2.文証・概説
教行信証に「十種の利益」を述べている。
「金剛の真心(しんしん)を獲得する者は-乃至-必ず現生に十種の益を獲。何者をか十と為る。
(*十の意味:満数で無量の意味、また現生に無量の徳を獲れること。)
以下、十の利益を記すが「大悲の願船に乗った者(念仏者と言う)」で「南無阿弥陀仏を称えている」ことが前提となる。
ここでは簡単に述べているが詳細は省略している。
一.冥衆護持の益
仏法を守護する神々(天神・地祇や梵天・帝釈など)がいつでもどこでも悪神・悪鬼から守ってくれる。悪魔・外道も妨げることができなくなる。
二.至徳具足の益
煩悩具足の凡夫(人間のこと)でも、不思議な無上の功徳(宝)をいただける。
流転の人でなくなる。煩悩具足の身(煩悩の塊の人間)は変わらないが、心の幸せ満足の気分で生かされる。
三.転悪成善の益
悪いことや苦しいことが、良いことや幸せなことに転じる。
親鸞聖人が流刑にならなかったら、越後の人々に本願を伝えられなかった。ありがたいことだった。法然上人のおかげである。苦悩がそのまま歓喜に変わった。
四.諸仏護念の益
大宇宙の無数の仏方(諸仏)が何重にも取り囲んで喜んで護ってくださる。
親鸞聖人は九十歳、蓮如上人は八十五歳、法然上人は八十歳で亡くなっている。
(ちなみに、各宗の開祖は禅宗の道元は五十四歳、天台宗の伝教は五十六歳、日蓮宗の日蓮は六十一歳、真言宗の弘法は六十二歳で亡くなっている。)
五.諸仏称讃の益
大宇宙の無数の仏方(諸仏)が無条件に褒めたたえてくれる。
それは喜びであり誇りでもある。言葉にあらわせば、あなたは妙好人だ、
希有人だ、分陀利華だ、最勝人だ、無上人だ、上上人だとほめことばで言い尽くされている。
六.心光常護の益
阿弥陀仏のお力(光明)で常に守られて、無上の安心と満足で生かされている。
阿弥陀仏の光明に照らされていると、欲や怒り妬み嫉みなどの煩悩を消滅して、
多くの人の災厄や苦難を救う力があると、釈迦は説かれている。
七.心多歓喜の益
嬉しいこと、楽しいことが多くなる。
成功者はみな挨拶上手で、人間関係はまず、一にも二にもさわやかな挨拶で
ある。かざらない笑顔はいつも心が安定していることになる。
また気持ちの持ちようもある。病は気からや、笑いは免疫力のバランスとか。
八.知恩報徳の益
阿弥陀仏の大恩や師主知識の方々から聞いた教えのご恩に恵まれたことに、
恩返しを積極的にしなくてはならない。ご恩に報いること。
九.常行大悲の益
阿弥陀仏のお慈悲に生かされ、守られていることを、常に伝える幸せを伝えてください。(利他行)弥陀の救いを伝えることは衆生済度の活動になる。
十.入正定聚の大益
弥陀から賜った信心で、弥勒菩薩と同等の悟りを得ることができる。
(正定聚の菩薩とは弥勒菩薩と同じになることで大益という。)
3.補足説明
大悲の願船に乗れば、十方衆生(すべての人)、凡夫も聖者も五逆の罪人も法謗の極悪人にも、みな一味平等の世界が広がりますと、親鸞聖人は「正信偈」に書かれている。
「凡・聖・逆・謗、斉しく廻入すれば
衆水の海に入りて一味なるが如し」(正信偈)
凡・聖・逆・謗:十方衆生(すべての人)
廻入:大悲の願船に乗ること。 衆水:多くの河川
現世でこんなに益(幸福)を得られると。













